コミュニケーションのすれ違い(私の方が勝手にすれ違っている?)
「寝袋があれば野宿できませんか?また、野宿って、許可が要りますか?ショバ代とか。」
唐突な質問。
話せば長くなるのだが、ひなたちゃんは毒親を離れ、少し離れたJ街に一人暮らしをしている。詳しくは「姫、大脱出」(仮題。まだ書いてません)へ。
引っ越して数か月。
いろいろあって実家のあるR街(私の住む街)に時々来なければならない。
私達の街はお互い、ギリギリしまむらがある程度の田舎。
ひなたちゃんは自動車に乗れない。ローカル線は2時間に一本程度。乗り継ぎがあるのでスムーズに行っても片道2時間以上かかる。
そうした中、苦労してR街にやってくるのだが、問題は泊まる場所。実家には毒親が居るので帰れない。
私の家にとめてあげればよいのだが、そう簡単にはいかない。
なぜなら、ひなたちゃんは、
・ほこりに対してアレルギーがある(喘息をおこす)
・夜9時以降は静かでないと眠れない。(眠れないと次の日パフォーマンスが劇落ちして何もできなくなる)
・外食ができない。(白ご飯。冷えた白ご飯ではお腹を壊すので暖かいものと、肉か魚の料理しか食べられない)
・ある特定の虫を見るとパニックをおこす
などなど、たくさんの困難を抱えているからだ。
私も私なりに努力はした。ホコリ対策のための大掃除、ダニを殺すため布団はコインランドリーの乾燥機にかける。狭い家なので難しいが9時以降一部屋明け渡して出入りを極力控える…
なんとか我慢して泊まることはできるみたいなのだが(あとで喘息など出ているかも)
一番のネックは睡眠時間。
私にはツレがいるのだが、ツレは在宅ワークが多く、9時以降は仕事が乗ってくる時間帯。
ツレは「泊まってくれるのは全然いいけど、夜は仕事だから音を立てないのは無理だよ。それでも良ければ。」というのだが…ひなたちゃんは眠れないと本当にたいへんらしい。
それでも何回かはひなたちゃんはうちに泊まっている。最初は虫が出るのでつらい。その次はホコリ。一度はひなたちゃんに合わせて9時就寝にしてみた。虫とホコリはなんとかかんとかクリアしてきたようなのだが・・・
ひなたちゃんは以前、前日に「泊まるところは自分で何とかします」と言っていたのだが、当日の夕方に、「駅で寝ます・・・」というメッセージをくれて、結局うちに泊まったことがある。
他の日も、「自分で何とかします」と言っていたけど、前日に心配になって宿の予約は取れましたか?と聞いて、取っていなかったので宿の予約を取ってあげたこともある。
というわけで今回。事前にひなたちゃんは、
「この日泊めてもらえませんか?」と連絡をくれていて、
「いいですよ。夜は仕事をしているので静かにするのが難しいですが。」と答えると、「それではご迷惑をおかけできないので、宿を取るとか、自分で何とかします」
というやりとりがあった。
ひなたちゃんが「自分で何とかします」と言うときには、何とかならないことが多い、と学んでいた私は、
今回のひなたちゃんの
「寝袋があれば野宿できませんか?」というメッセージを、
「今、R街にいます。宿の予約が取れなかったので、あなたに迷惑かけるわけにいきませんから、野宿をしようと思います」
と受け取った。
「寝袋があれば野宿をできませんか?」と聞いてくるところが、なんだか独特だなあと思ったが、前にも似たようなことはあった。ひなたちゃんは、直接要望や困りごとを伝える代わりに、唐突な質問をすることがある、と感じることがあった(もしかしたらそれも思い込みかもしれない)。
私はとりあえず、ひなたちゃんが聞いてくれたことに答え、そして寝る場所ならあるよ、と伝えることにする。
「寝袋というのは、うすい布団みたいなものです。想像してみてください。
畳の上ならまだしも、アスファルトの上や硬い地面の上に直接寝袋で寝ることを。硬くて眠れないのではないでしょうか?
あと、寝袋は寒いです。雨が降れば濡れます。
以下、寝袋について考え付く問題を上げますね
…略
そういう条件で野宿をするのは私はおすすめしません。
どうせ眠れない環境なのですから、野宿をするよりは屋根と床があるだけ、私の家の方がましだと思いますよ。
カギは開けておきますので。どうぞ来てくださいね。来られる場合は、メールをください。」
このメッセージの後のひなたちゃんのメッセージ
「大学を出ていたとしたらきちんと就職できたのでしょうか」
「資格なんて紙きれだよね。役に立たない」
・・・中略・・・
「今とても寂しいです。今の仕事が続けるのが難しいだろうということ、となりに誰もいないということ。私だって相棒となる方が欲しい。結婚したい」
・・・中略・・・
「自分が他人だったら関わらなくて済むけど、自身だから365日24時間逃げられない」
「自分と一緒にいるのはしんどい」
・・・略・・・
先の私のメッセージに対して、「いいえ、やはりご迷惑ですから野宿します」とか、「ではお邪魔します。何時ごろになります」とか、返してくれることを期待している私、困惑してしまう。ひなたちゃん・・・どこにいるの?やっぱり野宿しようとしてるの?と。
(でも、こうして苦しみを吐き出してくれることは、どんなことが辛いのかはよくわかってよいと思う。)
しかし、よく考えれば、私はひなたちゃんどこにおられるのですか?とか、野宿しようと思われているのですか?という質問は一切していない。
で、結局、「どこにおられるのですか?」と尋ねてみた私は、今日ひなたちゃんはR街に来ておらず、J街からメッセージしていたということを知るのでした。
最初の段階で、ストレートに訊けば済む話なんだけどね・・・。
でも、自分で何とかすると言っているひなたちゃんに、余計なお世話をしたくないのだ。
(てか、今日来るって言ってたじゃん。来てないなら来てないって言ってよ先に・・・。)
なので、私も最初からなるべく思い込まないことが大事なのではないか、と思い至った。前回こうだったからまたこうに違いないとかは、ひなたちゃんには当てはまらない。昨日来るって言ってたけど、このメッセージの段階ではひなたちゃんはまだどこにいて、どうしようと思っているのかわからない、と言うことをしっかりと認識しなくてはな。(なんだか推理ゲームみたいで楽しくなってきた・・・?)
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